歩くために、歩く。

「家に居すぎではないか」

それは突然の独り言だった。

一年のうち、

いちごのヒトツブほどしか外に出ていない。

地球全体に蔓延したウイルスのそれによって、

この世の“おうちだいすきんちゅ”たちの

どれだけが救われたんだろう

昔から

できるなら、

ずっと家に居たいクチの人間だった。

台風の誕生を喜び

部活をサボることに快感を覚え

休日、家の窓から聞く雨音がなにより幸であった。

しかし

2年も家に篭っていると

不思議と

外出に非日常のトキメキを感じるようになる

波はあるが

そして今日、

この時間

波が来ている。

リュックにテキストを詰め込み

もう

大学に行くしかない状況をセッティングした

明日の朝には谷底かもしれないが

すまない、

今夜のワガママを許してくれ

明日の自分よ

行くのだ、外へ。

ここまで書いたところで

ふと

題を見返す

ああ、違う話になってしまった

では、

数分前に考えていた方を、、

ワタシにとって、

“お外へ出る”

というのは

大きな苦労を伴うのだ。

しかし、

深夜に急に寂しくなるアレ

誕生日を祝ってくれる友人、

こんなに少なかったっけ…のソレ

食堂でひとりで飯を食うときのコレ

すべて

歩けばマシになるのだ

随分とハショってしまった

どういうことかというと

一旦

オウチを出て

気の向くまま

靴を揺らせば

どこかへと向かっていて

「ドブの水って、きったないなぁ〜」

とか

情報を処理することに夢中になり、

帰ってくるころには

「散歩、たのしかったナァ〜」

などと、

知らない結論を連れて帰宅する

また家を出るときには

「この前の散歩、たのしかったかもナァ〜」

なんて朧げなメモを手元に

また靴紐を結んで

つま先で道を撫でる

その繰り返しで

「散歩ってェ、楽しいですヨォ」

なんて思いを他人に垂れる

そうなれば、

お外のストレスと見つめ合う時間も

すこし、短く感じるでしょう

そんなありもしない経験を信じて、

行くよ、オソトへ。